資金移動業Q&A

Q 資金移動業とは何ですか?

A.資金移動業とは、銀行等の預金取扱金融機関以外の者が為替取引を業として営むことをいいます。
資金決済法上の「為替取引」は、銀行法上の「為替取引」と同義であり、銀行等以外の者であっても、これまで銀行等が取り扱ってきた為替取引を営むことが可能です。 「為替取引」を行うこととは、顧客から、隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて、これを引き受ける こと、又はこれを引き受けて遂行することをいうと解されています(最高裁平成13年3月12日第三小法廷決定)。 ですから、順為替、逆為替、内国為替、外国為替、円貨建て、外貨建てを問わず、マネーオーダーによる送金も「為替取引」に含まれます。
ただし、資金移動業者が取り扱うことができる為替取引は、少額の取引として政令で定めるもの(100万円に相当する額以下の資金の移動に係る為替取引)に限定されていま す。

具体的には以下のようなサービスです。

① 利用者が資金移動業者の支店に現金を持ち込み、別の支店で受取人が現金を受け取るサービス(1回限り又は単発的な利用)

② 利用者が資金移動業者に送金用の口座を開設し、受取人との口座の間で資金を移動 するサービス(反復継続的な利用)

 

Q.顧客がどうしても1回に100万円以上の送金をしてほしいと頼んできた場合は1回だけなら大丈夫でしょうか?

A.資金移動業の登録をしていても、100万円以上の送金は絶対に行ってはいけません。この場合は丁重にお断りするしかありません。

 

Q. 資金移動業者が取り扱うことのできる為替取引に制限はありますか?

A. 資金移動業者が取り扱うことのできる為替取引の内容は、100万円に相当する額以下の資金の移動に係る為替取引に限定されています。

これは、資金移動業の創設は、これまで銀行等のみに認められてきた業務を、新たに銀行等以外の者に認めるものであり、その業務遂行の実態を十分見極める必要もあることな どから、少額のものに制限が設けられたと考えられます。
この上限については、送金する資金の額の上限を定めるものであり、手数料やその他の費用等は含まれません。

また、資金については、円貨のみならず外貨であることも考えられることから、円貨に換算して100万円に相当する額(資金移動業者が定める一定の標準により換算)が上限 とされています。

 

Q.資金移動業者と金融機関の行う為替取引はどう違うのですか?

A.資金移動業者が、資金移動業として行う為替取引と、銀行等が、銀行業として行う為替取引には、次のような違いがあります。

① 取扱金額が100万円以下に限定されているかどうか

資金移動業者が、資金移動業として行うことのできる為替取引は、1回当たりの金額が100万円に相当する額以下の取引に限定されています。これに対して、銀行等 が、銀行業として行う為替取引には、取扱金額に制限はありません。

② 経営規制の相違

資金移動業者は、資金移動業のほか他の業務も営むことができます。例えば、資金移動業と物品販売業を兼業で行うこともまったく問題ありません。
また、資金移動業が行えるのは株式会社に限られていますが資本金等の規制はありません。
これに対し、銀行には他業禁止規制や自己資本比率規制が課せられています。

③ 事業者の破綻の場合の利用者保護の仕組みの相違

資金移動業者は、利用者から預かった資金と同額以上の額を供託等によって保全する義務を負います(資金決済法第43条)。資金移動業者が万一破綻した場合には、利 用者は、財務局の還付手続により、供託等によって保全されている資産から、弁済を受けることができます(資金決済法第59条)。
これに対し、銀行には他業禁止規制や自己資本比率規制が課せられており、これによりその経営の健全性の確保を図る仕組みとなっています。そして、銀行等が万一破 綻した場合には、預金保険法に基づき、決済債務は全額保護されることとなっています(預金保険法第69条の2)。

 

Q. 資金移動業者として登録することのできる者はどのような者ですか?

A 資金移動業者として登録をすることができるのは、株式会社か、外国資金移動業者 に限られ、合名会社、合資会社、合同会社、個人事業者が資金移動業者となることは認められていません。
資金移動業は、隔地者間の資金移動を行うものであることから、組織的な仕組みが必要とされ、また、法人の中でも、多様な資金調達手段による弾力的かつ機動的な業務運営や、 会社法に基づくコーポレート・ガバナンス機能の活用による効率的な業務運営が期待できる株式会社に限られたものと考えられます。
また、個人事業主の場合は、死亡や病気で業務不能な場合、利用者の保護がはかられないことも理由となります。

 

 

Q.外国資金移動者とは何ですか?


外国資金移動業者とは、資金決済法に相当する外国の法令の規定によりその外国において資金移動業の登録と同種類の登録(登録に類する許可その他の行政処分を含みます。)を 受けて為替取引を業として営む者をいいます。

例えば、アメリカであれば、連邦法では為替取引に関する規制はありませんが、州レベルでは為替取引に関する規制があり、ニュー ヨーク州送金業者法に基づき、免許を受けた送金業者などがこれにあたります。また、欧州であれば、決済サービス指令があり、同指令に基づき免許を受けた決済サービス機関が 外国資金移動業者にあたります。
外国資金移動業者であっても、国内に営業所を有する外国会社でない者や、国内における代表者(国内に住所を有するものに限ります。)を定めていない法人は、登録が拒否され ますので、ご留意下さい。

 

Q.資金移動業の登録の拒否がされるのはどんな場合ですか?

A 登録申請者が、次のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けてい るときは、その登録は拒否されることとなります(資金決済法第40条)。

① 組織形態(1号、2号)

株式会社か、外国資金移動業者でない者は、資金移動業者になることができません。

② 財産的基礎(3号)

資金移動業を行うにあたっては、資産保全義務の履行やシステム投資能力等が必要となることから、資金移動業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産 的基礎を有することが求められています。 この財産的基礎を欠く者は、資金移動業者となることができません。

③ 業務遂行体制や法令等遵守体制の整備(4号、5号)

資金移動業を行うに当たっては、資金移動業を適正かつ確実に遂行する体制や資金決済法(第3章 資金移動)の規定を遵守するために必要な体制の整備が行われてい ることが必要です。 この体制整備を欠く者は、資金移動業者となることができません。

④ 他の資金移動業者と同一又は類似の商号・名称を用いていないこと(6号)

他の資金移動業者と同一又は類似の商号や名称を使用する者の登録を認めることは、資金移動業の利用者が為替取引を提供する事業者の区別ができず、利用者保護に欠け るおそれがあることから、このような者は資金移動業者となることができません。

⑤ 過去5年間に、資金移動業の登録、資金清算業の免許を取り消されたり、資金決済法、銀行法等に相当する外国の法令の規定により同種の登録、免許を取り消された ことがないこと(7号)

利用者保護の観点から、過去5年間に、為替取引に関する事業者として不適格とされた者は、資金移動業者となることができません。

⑥ 過去5年間に、資金決済法、銀行法等、出資法またはこれらに相当する外国の法令に違反し、罰金の刑又はこれに相当する外国の刑に処せられたことがないこと(8 号) 利用者保護の見地から、過去5年間に、為替取引等に関する法令に違反し、法令等遵守に問題があると考えられる者は、資金移動業者となることができません。

⑦ 他に行う事業が公益に反しないこと(9号)

資金移動業者の信頼性の確保の観点から、資金移動業の他に行う事業が公益に反すると認められる者は、資金移動業者となることができません。 公益に反する事業とは、違法事業のみならず社会的に不当と認められる事業も含み、例えば、暴力団をはじめとする反社会的勢力と関係する事業や、その事業内容が社会 的に批判を受け、又は受けるおそれがあるものなどを指します。

 

⑧ 取締役等に不適格者がいないこと(10号)

取締役等は、業務の執行やその執行を監査する立場にあり、組織の運営において重要な役割を果たすことから、資金移動業を行う上で不適格な者を取締役等とする法人 は、資金移動業者となることができません。

不適格な者とは、具体的には次のような者をいいます。

イ)成年被後見人、被保佐人(外国の法令上これらに相当する者)

ロ)破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者(外国の法令上これに相当する者)

ハ)禁錮以上の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を経過してい ない者

ニ)資金決済法、銀行法等、出資法、暴力行為等処罰法(これらに相当する外国の法 令)に違反し、罰金の刑(これに相当する外国の刑)に処せられた者で、5年を 経過していない者

ホ)資金移動業者が登録を取り消された場合(外国において同種の登録を取り消され た場合)の取消の日前30日以内に取締役等であった者で、5年を経過していな い者 ヘ)ホ)に準ずるものとして政令で定める者